「シェルタリング・スカイ」って映画がありましてね。調べたら1990年の映画でした。ベルナルド・ベルトルッチ監督のラストエンペラーの後の作品なんですけど、ラストエンペラーと同じくサウンドトラックは坂本龍一で。
これがね、いい映画・・・だと僕は思うんですが、当時は村上春樹さんの小説同様「意味がよく分からない、どうやって理解したらいいかわからない、教えてほしい」ってよく言われました。
(お前らは勉強しすぎなんだよ。感じればいい。)
と思っていました。言いませんでしたけど。
退廃的な一面のある映画でね。ヘミングウェイとかもうちょっと下の世代のトルーマン・カポーティとかあんな時代のアメリカの作家の多くがスペインやジブラルタル海峡対岸モロッコ側のタンジール(タンジェ)に滞在していたりしていたんですが、そんな一人ポール・ボウルズが書いたのが、この『シェルタリング・スカイ』。
倦怠期のアメリカ人夫婦がなんとか夫婦生活を立て直そうとモロッコに船でやってきたが、結局立て直すことができなかったばかりか、サハラの砂に飲み込まれるようにどんどん深みにはまっていって、結局悲劇的な最後に突き進んでいくという話。途中からは自ら破滅を選んでいるような気さえした。運命がどうしてもその手を放してくれないような。
YOSHIKIか(笑)。
破滅の美学。
この映画を初めて観たのは確かまだ大学生の頃だったと思う。すでに「インドを経験」しもう怖いものはなくなって、まだ見ぬいろんな国に思いをはせていた頃、この映画を見てからずっとタンジールという町に行ってみたいと思っていた。
結局まだ行けていないんだけど。対岸のスペインには何度も行ったのにね。
この冬に稚内に行ったときに、いつも行く居酒屋のご主人とふと海外の話になったので「モロッコのタンジールってもしかして行かれたことありますか?」と聞いたら「若い頃だけど行ったことありますよ。詐欺師にすごくぼられちゃってね(笑)」と。
初めてお店に行った時からそのご主人は「人生のある時期に長い旅をしたことのある人だろうな」という気がなぜかしていたので特に驚きはしなかったんだけど、まさかタンジールまで行っていたとは。そこまで予想はしていなかった。
彼とは次回お店に行くときもいい話ができそうだ。今度は毎年恒例の1月か2月。夏ごろにはホテルをおさえる。航空券はもう少しあとでいい。
シェルタリングスカイ、久しぶりに観たいなと思ったら、HuluにはなくやはりUNEXT。残念と思ったけれど、そういえばDVDに焼いたの持ってるわ(笑)。
坂本龍一が手掛けたサウンドトラックも非常にいいのでCDも持っている。
”シェルタリングスカイ”ってのはサハラ砂漠を描写するときに英語でよく使われる表現で、Police時代のTea in the Saharaという歌の歌詞にも出てくる。生命の痕跡も何もない砂漠のなか、空が最後の逃げ場という意味なのかな。
僕ら日本人にはわからないんだろうけど、ヨーロッパの人間にとってはサハラ砂漠というのは何か意味を持った存在なんだろうなと感じることがある。
以前バルセロナのクラブで深夜まで踊り狂って、その日は現地の友人の家に泊まることになっていたので深夜2時ごろ歩いて帰ったことがあった。途中、雨が降っていたが霧雨だったのでそれほど気にならず傘は差さなかったのだが、友人の家についてよく見たらジャケットが赤茶けていた。僕がびっくりしていたら友人が、
「サハラの砂だよ」
と。この人たちにはサハラは近い存在なんだなと思った。
この冬に、青森市のアスパムという観光物産館に行ったらストリートピアノがあって、高校生らしき男の子が「戦場のメリークリスマス」を弾いていた。好きな曲なので最後まで聞いて去ろうとしたら、続けて坂本龍一のAsienceを弾き始めたので(この人は坂本龍一ファンなんだな(笑))と思った。
彼のほかの曲では、名前は知らないが韓国人のラッパーがLyricsをのせた「Undercooled」って曲がとてもいい、非常におススメです。